大会委員長挨拶
「第14回国際日本語教育‧日本研究シンポジウム――生成AI時代の日本語教育と日本研究:その歴史と本質の再考――(Japanese Language Education and Japanese Studies in the Age of Generative AI: Recapturing their History and Essence)」の主催者を代表し、ご挨拶申し上げます。香港大学専業進修学院および香港日本語教育研究会、そして初めての試みとなりますが、香港大学現代語言及文化学院を交えた三機関の共催により、この度のシンポジウムを開催できますことを大変うれしく存じます。
まず、ご後援を賜わりました国際交流基金、並びにご協賛いただいた多くの教育機関‧関係団体の皆様に心より御礼申し上げます。また、海外からお越しいただいた参加者の皆さまにおかれましては、香港までご参集いただき、大会委員長として厚く御礼申し上げます。
香港と日本は長年にわたり強い絆を築いて参りました。日本は香港にとって第六位の貿易相手国であり、香港は日本にとって第十三位の貿易相手国です。2025年現在、香港には約22,930人の日本人が居住しており、両地域間の経済的および人的交流が非常に活発です。香港は日本からの農林水産物・食品の輸出先として第2位であり、特に水産物に関しては第1位の輸出先となっています。また、香港と日本の地域空港を結ぶ直行便が増加しており、両地域の結びつきがさらに強化されています。
2025年の大会テーマ「生成AI時代の日本語教育と日本研究:その歴史と本質の再考」は、急速に進化する生成AIの影響を受ける中で、日本語教育と日本研究の将来、およびその歴史と本質を再考する絶好の機会となるはずです。AI技術は、金融、医療、製造、マーケティング、サイバーセキュリティなど、さまざまな分野で急速に取り入れられています。教育分野においても、生成AIの導入には当初は懸念がありましたが、現在ではその利用は避けられないものとなりつつあります。AIは教育の現場で創造性や効率性、個別化学習を促進する一方で、依存やバイアス、倫理的な問題なども提起しています。このような急速な変化に対応しつつ、なおかつ柔軟に活用することが重要であると考えられます。このシンポジウムを通じて、参加者の皆様が有意義な議論を交わし、未来の可能性を探求する場となることを期待しております。
私自身、長年にわたり、日本語教育と日本文化に対する情熱を持ち続けており、今までに数え切れないほどの貴重な経験と素晴らしい出会いを重ねて参りました。本シンポジウムが新たな知見を共有し、日本語教育および日本研究の輝かしい未来を切り開く場となることを願っています。さらに、日本語および日本文化の魅力を通じて、香港と日本の絆がより一層深まり、両地域の相互理解と協力が促進されることを期待しております。最後になりましたが、ご参加された皆様の益々のご健勝、ご活躍を祈念申し上げます。
香港大学専業進修学院
第14回国際日本語及び日本研究シンポジウム委員長
陳 徳奇
2025年4月吉日
大会共同委員長挨拶
香港日本語教育研究会が1994年から開催している国際日本語教育・日本研究シンポジウムは、高等教育機関と連携し、2年ごとに実施されています。この30年以上の間に13回の大会を重ね、香港の日本語教育・日本研究に関わる主要な教育・研究機関がこの事業に注力しています。
このシンポジウムには、日本、中国大陸、台湾、韓国、東アジア・東南アジア、アメリカ、カナダ、欧州、オーストラリアなどから多くの教育者や研究者が参加しており、地域における重要なイベントとしての地位を確立しています。また、伝統ある国際大会として、日本語教育・日本研究の発展にも寄与しています。
2024年夏より、香港大学専業進修学院の陳徳奇先生のご厚意と多大なご尽力により、2025年11月に「第14回国際日本語教育及び日本研究シンポジウム」を香港大学専業進修学院で開催することが決定いたしました。本シンポジウムは、香港大学専業進修学院との3度目の共催となります。
特に、陳徳奇先生には心より感謝申し上げます。先生のご尽力により、香港大学の現代語言及文化学院も加わり、初めて3つの機関が共催するシンポジウムとなります。香港大学の現代語言及文化学院日本研究学科は1985年に設立され、2025年には40周年を迎えます。私自身、1985年に同学科で初めて日本語を教えた経験があり、当時は「日本語」と「日本文化」の科目のみでしたが、現在では多様な日本文化関連の科目が開講されています。このように、香港大学現代語言及文化学院が2025年のシンポジウムに共催機関として加わることは、大変記念すべき出来事であり、非常に喜ばしいことです。
この40年間、香港における日本語教育は常に変化し、学習者も増加しています。1984年に発足した「日本語能力試験」初期の海外の受験者数は4,473名で、その中の1,054名(23.56%)が香港からの受験者でした。2023年現在、香港の受験者数は14,853名に達し、14.1倍の増加を見せています。これは、世界的な日本語学習者の増加傾向や日本文化の人気が影響していることは明らかです。
さらに、香港の街やマスメディアでは、日本語が頻繁に使用されています。特に、美容、健康、美食に関連する看板や広告では、日本語が最もよく使われる外国語の一つとなっています。これは、香港の人々が日本語を通じて、日本の美しい文化や健康的なイメージ、美味しい食文化を感じ取っていることを示していると考えられます。
2025年の大会テーマは「生成AI時代の日本語教育と日本研究:その歴史と本質の再考(Japanese Language Education and Japanese Studies in the Age of Generative AI: Recapturing their History and Essence)」としました。近年、生成AIモデルが急速に進化し、私たちはAIなしでは仕事や学習が進まない時代に突入しています。この生成AIの影響は多岐にわたり、特に日本語教育や日本研究に携わる者として、この潮流を軽視することはできません。この変化にいかに対応し、活用していくかは重要な課題です。
本シンポジウムは、世界中の異なる文化背景を持つ日本語教育・日本研究の関係者が集まり、生成AIの急速な進展の中で日本語教育と日本研究を多角的に見つめ直し、その本質に立ち戻る機会を目指しています。また、未来の可能性を探求する場として、参加者が有意義な議論を交わすことができれば幸いです。
ご参加いただく皆様の研究発表や報告、活発な討論や意見交換が、AI時代における日本語教育と日本研究のさらなる促進と展開に寄与することを心より期待しております。本シンポジウムが、国際社会における日本語学習・教育の発展に貢献できる足掛かりとなることを願っております。
最後に、第14回シンポジウムの開催準備に際し、在香港日本国総領事館をはじめ、独立行政法人国際交流基金、香港の各日本関係団体、そして大学や高等教育機関の日本語教育・日本研究関係者の皆様に深く感謝申し上げます。
皆様のご健康とご多幸を祈念しつつ、2025年が明るく穏やかな年であることを心より願っております。
香港日本語教育研究会 会長
第14回国際日本語及び日本研究シンポジウム委員長
梁 安玉 マギー
2025年4月吉日
共催
助成·協賛
後援·協力
在香港日本国総領事館/香港中文大学日本研究学科/香港城市大学/香港理工大学/香港浸会大学語文中心/香港科技大学語文教育中心/香港教育大学語言学及現代語言系/香港伍倫貢学院/香港理工大学香港専上学院/香港中文大学専業進修学院/嶺南大学持續進修学院/香港都会大学李嘉誠専業進修学院/澳門大学/香港日本文化協会/香港留日学友会/香港日本人俱樂部/香港日本人商工会議所/香港和僑会/港日商務研究中心
実施委員会
実施委員会委員長
実施委員会共同委員長
実施委員会委員
国際交流基金
海外派遣日本語教育専門家
田邉 知成
香港大学専業進修学院